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TRPGに関するメモや随想など

価値六相と深層欲求


 VCに対して深層欲求の三角形を重ねることができるだろう。深層欲求は[支配欲求][承認欲求][成長欲求]の3つである。

  支配欲求: 場をコントロールしたいという欲求。
  承認欲求: 誰かに認めてもらいたいという欲求。
  成長欲求: 能力を拡張し強くなりたい欲求。

 遊戯性、攻略性、役割性は[支配欲求]に根ざしている部分がある。役割性、参加性、創造性は[承認欲求]に根ざしている部分がある。創造性、体験性、遊戯性は[成長欲求]に根ざしている部分がある。例えば遊戯性を求めるプレイヤー心理の根底には[支配欲求]と[成長欲求]があるという意味になる。
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 特に攻略性、参加性、体験性は3つの深層欲求のうち、根源的な部分の影響を受けやすい。攻略性の要求する「ゲームに勝つ」あるいは「望ましいエンディングを迎える」という指向性は、場をコントロールする支配欲求の性質に合致し、分かりやすい。プレイヤーは挑戦しがいのある困難に直面し、それを克服したとき、達成感を得ることになるだろう。
 参加性の要求する「ダイスを振る」「宣言をする」は、必然的に自分の行動を人に見てもらえる場面である。承認欲求を満たす最も簡単な方法は、その人にターンを回すことである。ターンを回すということは、カラオケでマイクを回すようなものである。ターンが回ってきたプレイヤーはダイスを振ったり、宣言をしたり、セリフを喋ったりする機会が与えられる。これは基本中の基本と言ってもいいだろう。
 体験性の要求する「世界観を味わう」「新しいサプリメントを使う」は、成長欲求を満たす最たる手段である。それによってプレイヤーは新しく学ぶことや、新しく感じることがあるはずである。「とにかく遊んでみよう」という気持ちが大切なのである。
 これら3つの欲求は、プレイヤーの満足度を評価するための指標として使う。ストレスの多いプレイヤーは深層欲求が満たされる場面が多く訪れることを期待し、ストイックにゲームを嗜むプレイヤーは深層欲求が満たされない緊張状態に白熱する。満たされる状態と満たされない状態が交互にやってくることで、スリルとカタルシスの両方を楽しむことができる。どちらに比重を置くか、また、どのような頻度で交代を繰り返すのが心地良いかはプレイヤーの嗜好による。スリルとカタルシスの交代劇をどう描くかという問題は、エンターテイメントとしてのゲームをデザインする上で重要なポイントである。

深層欲求が満たされる具体的場面の例

支配欲求

  • 依頼人に感謝される
  • 考えた戦略が功を奏した
  • 強いマジックアイテムが手に入る
  • 巨大な悪が滅びて世界が平和になる

承認欲求

  • PCの見せ場がある
  • PCの設定が拾われる
  • PCが名前で話しかけられる
  • セッション終了後に連絡先の交換をする

成長欲求

  • ネタバレがない
  • 失敗しても許される
  • 思いがけない発見があった
  • 知らないことを知ることができた