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TRPGに関するメモや随想など

攻略性

 何度かゲームを遊んでいると、どうすれば敵に勝てるのかという「勝ちパターン」のようなものが見えてくる。囲碁や将棋の世界では「定石」としてまとめられているが、TRPGでは、攻略性を意識するプレイヤーたちの間で何となく共有されている程度である。
 ファンタジーRPGで、魔法使いといえば、生命力が低く、敵の攻撃の標的にされると死にやすいため、前衛に出ることは少ないだろう。だが、味方の状態、地形、戦場ルール、NPCの行動指針、特殊な勝利条件などにより、魔法使いが前衛に出た方が有利な場合がある。
 状況が、自分が知っている「勝ちパターン」では対応できなくなったとき、我々は興奮を覚える。「ああ、どうしよう」「何とかしなくちゃ」「どうやって困難を切り抜けよう」。このスリリングな状況の中で、頭を使い、定石外れの戦術を構築したとき、頭の中はスッキリとした気持ちになり、「これでどうだ?」と、自分の知性を卓に問いたくなる。
 敵を倒した後は(あるいは問題を解決した後は)、甘美なる勝利に酔いしれたい。戦闘マップ上から敵ユニットのコマが取り除かれるだけで満足する人もいるし、悪の断末魔を聞くことで勝利を実感する人もいる。もっと別の、敵を蹴散らしたことによる報酬を手に入れて満足する人もいる。ハッピーエンドをもって報酬とする人もいる。具体的に何を求めているかは、我々がどのような角度から感情移入をしているかによって異なるが、ともかく勝利を実感するプロセスは必要なのである。我々は戦術に対する正当な評価を求めている。もし敗北したのなら、ちゃんと悔しい気持ちを持ち帰りたいと思っている。
 倫理観のある我々は、ルールに対して公正であることを望む。GMが不正処理をするぐらいならPCが死亡したほうがマシだと思っているし、自分の判断ミスや、自分が見過ごした仲間のミス、ダイスの出目による失態は次への教訓として歓迎されるべきものだ。
 GMにはルールに対して公正であることを望む。GMは自由にルールを選択する権限をもっていて然るべきだし、オリジナルルールを追加しようが一向に構わないのだが、GMには自分が決めたルールに自分も従って欲しいし、ルールを変更する場合ははじめにきちんと説明してほしい。裁定基準も、できればはじめのうちに示してほしい。
 我々にとって重要なのは決断させてもらえることである。選択の意味を知った上で、攻略方法を選び取り、自分で責任を負うことが楽しさなのである。だからきちんとルールを説明してもらいたいし、やるからには勝ちたいのである。とはいえ、他人の判断で掴んだ勝利は無価値だと感じる。納得のいかないまま他人のアドバイスを受け入れるぐらいなら、自分の愚かな選択によって敗北した方がずっとマシなのだ。