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TRPGに関するメモや随想など

アリアンロッド2E』の戦術論

 こういうものは「やっていくうちに気づく」もので、教わるものではないとは思っているのですが、必要としている人向けに書くことにします。

■役割論

 『アリアンロッドRPG 2E』(以下AR2E)では、4つのメインクラスが設定されています。この4つのメインクラスを「役割」という切り口で理解するのが、戦術のはじめの一歩になります。

役割とは何か

 『R1』P8898を開いてください。渋沢佳奈先生の描いた凛々しいウォーリアのイラストがありますね。このページにはウォーリアの説明が書いてあります。この一段落目「ウォーリアとは本来、未開の~~~呼ばれることがある」までがウォーリアの設定です。一方で二段落目の「ウォーリアは主に前衛~~~徹する者もいる」までがウォーリアの役割です。
 残念ながら、全てのクラスの説明がウォーリアのように設定と役割の両方が書かれているわけではないのですが、ウォーリアの説明を読んでもらえれば、設定と役割の違いが理解できると思います。*1
 話を簡単にすると、あなたが戦闘で求められているものが役割です。TRPGはどんなキャラクターを作っても自由とは言いますが、一緒に冒険に出かける仲間がいる以上、その仲間を危険に曝したり、迷惑を掛けたりはしたくないものです。そして何より、仲間のピンチを救ったり、仲間の役に立ったりすれば格好いいですよね。
そういうわけで、PCには弱点と長所があった方が「互いが互いを助ける」いい雰囲気の仲間になれて、ロールプレイも活発になるので、キャラクター作成のルールの中に「弱点と長所を作りなさい」というルールを埋め込んだものがクラスシステムというわけです。ウォーリアにはウォーリアの役割、アコライトにはアコライトの役割があるのです。言い換えればウォーリアにはウォーリアの弱点と長所があり、アコライトにはアコライトの弱点と長所があるのです。クラスは「弱点」「長所」「設定」のセット販売みたいなもので、これらが絡み合うお陰で、誰でも気軽に「仲間どうしの絆が深まるような冒険」を体験できるのです。

メインクラスの役割

 AR2Eはスキル構成によってPCの戦い方が変わるゲームなので、画一的な役割論は通じないのですが、8種類の上級クラスを念頭に置いたイメージなら伝えられます。ウォーリアは対ボス用の攻撃と、味方の防衛。アコライトは回復と支援。メイジは強力な魔法攻撃。シーフは範囲攻撃と回避能力。ここから、もう少し具体的に各メインクラスについて説明していきます。

ウォーリア

 ウォーリアは「脳筋で分かりやすいから初心者向け」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、それは誤りです。
 『R1』P158、159P170、171を見て下さい。冒険者が装備できる防具が並んでいます。注目して欲しいのは「クラス制限」の項目です。「ウォーリア」の文字が数多く並んでいますよね。そう、つまりウォーリアは装備できる防具の種類が多いということです。これだけ多くのデータから自分にぴったりのものを選ばないといけないし、武器も使うわけだから、装備品の更新頻度も多く、意外と考えることが多いのです。
 また重たい武器や防具を装備するために【筋力基本値】を高くする必要がでてくるのですが、そうすると必然的に「所持可能重量」も増えます。たくさん荷物が持てるようになるので、ギルド内で荷物持ち係に任命されることも多くなります。それは、アイテム管理を任されるということで、案外ウォーリアは処理しなければならないデータが多いのです。
 また【筋力】が高いことから、登攀跳躍(『R1』P269、270P285、286)で活躍することも期待されます。「冒険者セット」に含まれている「ロープ」を持参し、できれば一般スキルの《アスレチック》を取得しておくとよいでしょう。
 防御力の高い防具が装備でき、またHP上昇率も高いウォーリアは、純粋に「倒れにくい」という特徴をもっています。そうすると、打たれ弱い味方を守るために、積極的に敵がいる前の方に出ていって敵を少しでも足止めする役割が期待されます。自分がやられたくないからと言って逃げていてはいけません。あなたがやらなければ、仲間はピンチになります。
●基本型:ウォーロード型(撃破役/単体火力/ストライカー)
 近接武器を装備し、前に出てボスに大ダメージを与える役割を担います。
 強い敵に戦いを挑み、自分がダメージを受けながらも相手に大ダメージを与えたい人に向いています。
 あなたの役割は「敵の至近攻撃を受ける」ことと「敵に大ダメージを与える」ことなので、あなたが標的にすべきエネミーは脳筋のデカブツです。ダメージの大きな近接武器を使ってくる、ボス、あるいは中ボス級のエネミーに挑戦を仕掛け、味方のいる後衛に突破されにくいように位置取ります。また弓や銃を持った射撃タイプのエネミーよりは、馬に乗っているような移動力が高そうなエネミーを止めた方が有効です。飛行状態のエネミーは足止めできないので注意してください。適切なエネミーがいない場合は手近なエネミーを狙うとよいでしょう。
 ダメージを確実に与えることが求められるので、《アームズマスタリー》は必須です。《バッシュ》も強力なのでお薦めです。
●基本型:ナイト型(防衛役/カバーキャラ/ディフェンダー
 前に出て敵の足止めをしつつ、味方に攻撃が及ばないように守備を固める。
 とにかく敵からたくさんの攻撃を受け、自分を犠牲にしてでも味方を守り抜きたい人に向いています。
 ナイト型のウォーリアの動きは戦場の地形やエネミーの構成に依存する(戦術性が高い)ので、役割論で片付けるのは難しいです。基本的にはウォーロード型と同様にダメージもきちんと与えられるようにしておいて、前衛に出る形になります。ナイト型は味方のアコライト(パラディン型)やシーフ(近接武器)と同じエンゲージに突入し、彼らがダメージを受けそうになったら《カバーリング》を宣言して守護する戦法をとります。ワントップで突出するウォーロード型と違って、ナイト型は他の前衛と歩調を合わせる(連携する)ことが重要になります。
 CL1の時点で《カバーリング》は必須です。また距離が離れていても味方を守ることができる《カバームーブ》も早いうちに取得しておきたいところです。また片手武器ならば盾を装備しておくべきだし、両手武器なら《ウェポンガード》がお薦めです(サムライなら《トゥルーアイ》もあります)。
●特殊型
 射撃ウォーリアや、攻撃しない(防御と支援のみの)ウォーリアを作成する場合、他のプレイヤーと相談した方がよいでしょう。

アコライト

 アコライトは割り込み処理が多く、味方の能力や状態を把握していないといけないので、初心者向けではありません。ただし、求められるスキルが確定しているので、低レベル帯における成長はほとんど悩む心配はありません(逆に自由が少ないせいで敬遠されることもありますが)。
 アコライトは支援に特化できるメインクラスです。コンストラクションでは初期取得になっている《プロテクション》というスキルを使って味方を守ります。アコライトを担当することになったら、《プロテクション》《ヒール》はCL1の段階で必ず取得しましょう。そしてCL4~6までには《プロテクション》を最大のSL5まで育てるようにしましょう。
AR2Eは戦闘終了後にHPが回復しないシステムなので、ダメージコントロール系のスキルは必要とされます。シナリオ中に何度も使用できる《ヒール》や、あらゆるダメージ種別に対して万能に対応でき、ダメージが決定してから割り込みで唱えられる《プロテクション》は文句なしに超強力な支援魔法です。
 またアコライト、特に支援型のアコライトは、戦闘において判定の達成値が必要な場面が少ないので、MP上昇に繋がる【精神基本値】を高くする傾向があります。そういうわけで、【精神】が高いアコライトは交渉役を任される場面も少なくありません。
 一般スキルの選択ですが、アコライトはコンストラクションで初期取得となっている《ファーストエイド》や、手番が余った時にエネミー識別を行なうための《モンスターロア》がお薦めです。あるいは高い【精神】を活かすために《オピニオン》《ブラフ》《インサイト》《ベアアップ》などを取得するのも手です。
●基本型:プリースト型(回復役/支援役/ヒーラー)
 《プロテクション》《ヒール》を中心とした支援に加え、様々な支援を担います。
 味方の能力や現在受けているダメージ状況を把握しながら、味方を支援したい人に向いています。
 基本的には後衛に位置取りますが、前衛の味方(ウォーリアやシーフ)が《ヒール》や《プロテクション》の届く距離から逸脱しないように先を読んで距離を保つ位置取りが求められます。例えばアコライトのあなたが、前衛のウォーリアと20m離れているとき、さらにその先にウォーリアの標的となりうる目標がマップ上に配置されているならば、恐らくウォーリアは次のメインプロセスで《プロテクション》の圏外に出てしまうでしょう。そうなる前にアコライトであるあなたは、支援が届く位置まで前進すべきなのです。
●基本型:パラディン型(指揮役/攻撃+支援役/殴りアコ)
 《プロテクション》《ヒール》は使えるものの、攻撃に参加します。
 味方を支援しつつも、武器で、ダメージを与えたいプレイヤーに向いています。敵や味方の現在のダメージ状況を把握しなければならず、立ち回りが忙しくなります。
 敵に至近攻撃をしながらも、味方を支援する必要がありますので、前衛もしくは中衛に位置取ります。具体的には味方にかける《ヒール》や《プロテクション》が届く距離を保ちながら効果的に敵を攻撃したり後衛の味方に敵が寄ってくるのを防いだりする位置取りが求められます。
●特殊型
 《プロテクション》や《ヒール》を取得しないアコライトを作成する場合、他のプレイヤーと相談した方がよいでしょう。

メイジ

 メイジは装備できる防具の種類が少なく、HPも低いため、とても弱い存在です。また武器攻撃をすることもないため、装備品を買う機会が少ないのが特徴です。はじめのうちは、スタッフ(『R1』P155P166)やマジックスタッフ(『R1』P166P181)、あるいは赤き斜陽の剣(『R2』P90『PSG』P84)あたりを装備することになるでしょう。
 メイジの役割は火力です。AR2Eのエネミーはほとんどが魔法に弱いため、魔法攻撃ができるメイジは極めて強力です。味方に守ってもらいながら、とにかくたくさんダメージを与えて、少しでも早く敵を戦闘不能に追いやることを考えてください。
 メイジにとっては装備品よりもスキルが大事です。自分が攻撃の手段としてメインで使う予定の魔法を1つ選んで、それを育てていきます。
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 基本的な押さえとしては、攻撃魔術系スキル(メインの魔法)を1つだけ選びます。そうすると、それに対応した称号系スキルが自ずと決まるので、後は成長に合わせて称号系スキルと魔術拡張スキルを取得していくという流れになります。
低レベル帯の成長時には、称号系スキルを1レベル上昇させ、《マジシャンズマイト》も1レベル上昇させ、魔術拡張スキルから好みのものを1つ取得します。
プレイヤーの好みで《マジシャンズマイト》もしくは魔術拡張スキルを取得する代わりに、その他のスキルを取得するという選択もアリでしょう。メイジならば《フライト》がお薦めです。またセージを選んでいるならば《エンサイクロペディア》は役に立ちます。他にもサポートクラス特有の強力なスキルもありますので、探してみてください。
メイジは魔術判定に使用する【知力】が高いという特徴を持っていることから、アイテム鑑定、その他の知識判定での活躍が期待されます。一般スキルには特定の知力判定を強化するスキルも数多くあるので、それらを選択するもの面白いです。知識判定により特化したいのであればサポートクラスとしてセージを選ぶとよいでしょう。そうした場合、エネミー識別をする機会に恵まれるので一般スキルの《モンスターロア》を取得するのがお薦めです。そうでなければ知力判定強化系スキルか、シーフの役割を補う意味で《サーチリスク》などを取得するのも手です。
メイジは魔法が届く「敵から20m以内」の距離を保ちつつ、なるべく敵の攻撃を受けないように後衛に陣取るのが基本的な動きになります。敵の範囲攻撃を受けないように味方が固まっているエンゲージから離れることも大切です。後は、どのエネミーを攻撃対象にするかを常に考えながら戦況を見ておくとよいでしょう。
●基本型:ウィザード型(キャスター)
 メイジの精霊魔法を使って戦うのがウィザード型です。サポートクラスはメイジもしくは、セージを選んでおくのが一般的です。
●基本型:ソーサラー型(キャスター)
 精霊魔法以外のアコライト、サモナー、ニンジャなどをメインに据えるメイジがソーサラー型です。それぞれのサポートクラスの特徴を踏まえておくと幅が広がります。
●特殊型
 《エンチャントウェポン》などを主体とする支援型メイジという選択肢もあります。支援型メイジを作成する場合、他のプレイヤーと相談した方がよいでしょう。
また、魔法剣士のような、武器で攻撃しつつ魔法を使うようなキャラクターを作成するのは、AR2Eでは(とりわけ低レベル帯では)ほぼ不可能と言われています。勿論、作成すること自体は可能ですが、役割から完全に逸脱した「弱いキャラクター」にしかなりません。ウォーリアやシーフで魔法ダメージを与える武器を装備するか、魔法ダメージ化するスキルを使用するのが最も近い再現方法でしょう。状況に応じて武器攻撃と魔法攻撃を使い分けるようなキャラクターを演じたい場合、残念ながら、別のTRPGで遊んだ方がよいと思われます。

シーフ

 シーフは比較的「何をやっても許される」所があり、役割意識の低いスタンドプレイ型のゲーマーに好まれる傾向があります。とは言え、最低限、ダメージを与えつつ、副次的に攻撃を惹き付ける役割を担い、トラップ探知とトラップ解除を担当することが期待されます。
 シーフは武器攻撃をするという点ではウォーリアと同じですが、一般的にウォーリアより火力が低く、強力な防具も装備できません(防具に関してはアコライトより薄っぺらいです)。しかし、《ワイドアタック》という便利な範囲攻撃スキルが取得でき、《バタフライダンス》や《ドッジムーブ》など、強力な回避系スキルが取得できるのが特徴です。
避ける削る翻弄する、の3つがシーフの基本的な動きです。「避ける」は敵の攻撃を惹き付けて回避すること、「削る」は相手のHPをある程度減らすこと、「翻弄する」は移動やバッドステータスによって嫌らしい場所に位置取って敵の動きを封じたり、敵の攻撃を失敗しやすくさせたりすることを指します。シーフはこれら3つの役割を、自分の好きなバランスで担っていくことになります。
シーフは武器攻撃を行なうため【器用】が高く、回避のため【敏捷】も高くなりがちです。大業物を振るうシーフは【筋力】を、MP消費の多いシーフは【精神】を高めることになるのですが、そうでないシーフは、他のメインクラスが手薄になりがちな【感知】を育てていくというのが基本パターンです。【感知】は戦闘で役に立つことはほとんどありませんが、トラップ探知、危険感知、情報収集で必要な能力値なので、戦闘以外でも役に立ちます。
一般的にシーフは【感知】が高いことが期待されます。つまり気づくという第4の役割も期待されることになります。トラップ探知、危険感知、情報収集はそれぞれ《ファインドトラップ》、《サーチリスク》、《リサーチ》の一般スキルと対応しています。また【器用】も高いことからトラップ解除を担当することも期待されます。一般スキルとしては《リムーブトラップ》です(アイテムの小型ハンマーとくさびも持っておくとよいでしょう)。ただしダンサーのように【器用】や【感知】が弱いシーフの場合など、第4の役割を担うのは難しい場合があるので、「できればやる」ぐらいの気持ちで臨む方が気は楽でしょう。
エクスプローラー型(コントローラー/トリックスター
 近接攻撃でエネミーのHPを削り、バッドステータスを与えつつエネミーを翻弄する役割です。短剣、鞭や各サポートクラスの近接武器で戦います。
 どうすれば敵を困らせることができるかという事について考えるのが好きなプレイヤーに向きます。
 《バタフライダンス》《ドッジムーブ》で更に回避能力を向上させるとともに、高い回避能力を活かすため《タウント》などの[逆上]のバッドステータスを与えるスキルを併用すると効果的です。また、適切な場所に位置取りできるように《ランナップ》を取得するのも手です。
●スカウト型(シューター)
 弓、錬金銃、魔導銃などの射撃攻撃をするシーフです。スカウト型にとっての回避は、エネミーの中に射撃攻撃や魔法攻撃をしてくる相手がいた時のための保険です。ウォーリアの《カバーリング》やアコライトの《プロテクション》をメイジのために使わせるために、自分はダメージを受けないように心得ておくというわけです。ゆえに、エクスプローラー型ほどの回避能力は求められません。またスカウト型は位置取りによって「翻弄する」役割も期待されません。それよりも、メイジと同様に敵にたくさんダメージを与えることの方が重要です。各サポートクラスのスキルを把握しておくことが大切です。

マスタリー系スキル

 支援型アコライトを除き、攻撃に参加するキャラクターにとって命中判定は重要です。《アームズマスタリー》もしくは《コンセントレイション》は命中判定を+1Dするスキルです。平均値をとってみると、命中判定の達成値を+3.5し、クリティカル率を上げ、ファンブル率を下げる効果をもっており、しかもパッシブなので、極めて強力です。
 もしあなたがまだ、マスタリー系のスキルを取得していないのなら「勿体ない!」と言われるでしょう。

必殺技系スキル

 神業系、四種の神器、シナリオ1回のやつ、各メインクラスの強いやつなど、様々な呼ばれ方をしますが、ここでは「必殺技系」と呼ぶことにします。

  • 《ボルテクスアタック》(ウォーリア)
  • 《リゼントメント》(メイジ)
  • 《アフェクション》(アコライト)
  • 《インタラプト》(シーフ)

 これらのスキルは「このスキルはメインクラスが○○○、およびその上級クラスでなければ使用できない」と書かれているスキルです。しかも「1シナリオに1回使用可能」という制限があるので、メイクラスごとに設定されている必殺技のようなものです。これらのスキルを使用するということは、そのキャラクターの見せ場でもあるのです。
 ただし、使用回数に制限のあるスキルばかり取得してしまうと、基礎力が落ちてしまいますので、バランスが大事です。これらのスキルはCL3~4前後で取得するのがよいと思います。
 特にウォーリアとメイジは攻撃系、アコライトとシーフは防御系の必殺技です。ウォーリアの場合は《スラッシュブロウ》、メイジの場合は《マジックフォージ》という1シーン1回使用できる準必殺技のようなスキルも存在します。

タイミングは被らないようにする

 あくまで原則ですが、「セットアッププロセス」「ムーブアクション」「マイナーアクション」「メジャーアクション」など、同一のタイミングのスキルを複数取得しても無駄になることが多いので、基本的にはお薦めしません。例えば「状況に応じて○○と××を使い分ける」みたいなスキル構成にしてしまうと、器用貧乏になってしまい、役割が弱くなってしまいます。特にメジャーアクションのスキルは一本化することをお薦めします。多くの種類のスキルを取得するよりも、特定のスキルのSLを上昇させたり、「タイミング:パッシブ」のスキルを取っていったりする方が総合的に強くなります。

■役割のプレイ

 AR2Eの戦闘時、プレイヤーは基本的には役割のフレームワークで思考します。つまりキャラクター作成時のコンセプト通りにPCを動かそうとするのです。このとき大切なのは味方に自分の役割を伝えることです。「私は~~するつもりでいます」「私は~~を全力で攻撃するつもりです」といった具合に予告をします。それを聞いた他のプレイヤーは自分のPCの役割でものを考えるので「よし、わかった、頼むぜ」とか「ちょっと待ってください。そっちへは私が行くので、その横の敵をお願いします」のように相談が活発になります。
AR2Eでは、往々にして、味方の役割と被ってしまったり、状況がそれを許さなかったりする場合もあります。ですからこのように、「自分の役割を予告する」という形で相談を持ちかけるのがスマートです。

■戦術論

そして、役割論だけでは何とかならない場合に出てくるのが戦術のフレームワークです。各PCが本来の役割から脱却して、勝つために本当にしなければならない事を自覚してゆく過程が戦術です。戦術のフレームワークでは、PCたちが持っているスキルやアイテム、およびHPやMPなどのデータをパラメータのレベルにまで分解して、今まで出そろった情報を元に、これから先の戦況がどのように変化するかについて冷静に分析をし、最適な問題解決案を提案し、意思決定します。
リソースを使い果たしたメイジが継戦可能なウォーリアを[カバー]する場面、魔法の箱に閉じこめられたシーフを救い出すためにアコライトが苦手な[トラップ解除]に挑戦する場面、手番が余ってしまったウォーリアが少ない知識から絞り出して[エネミー識別]をする場面。こうした「いつものAR2E」が崩壊させられる場面というのは、セッションにスパイスを与え、ゲームをエキサイティングなものにします(思考時間を長くし、プレイヤーに疲労感を与えますが)。
役割のフレームワークの段階では、予め想定しておいたキャライメージに合致するロールプレイが有効で、キャラクターどうしの掛け合いもやりやすかったのに対し、戦術のフレームワークでは「敵に勝つ」「生き残る」といった極限の目標を目の前にしてキャライメージを伴った役割性が一旦、崩壊します。その上で、その場限りの「役割」が再構築され、新しいキャラどうしの関係や、新しいキャライメージも再構築されます。このように戦術に引っ張られてドラマが生まれ、キャラクターが成長してゆくのもTRPGの楽しみの1つです。

役割と戦術のバランス

 役割を重視し、「PCたちがピンチになった時のみ戦術のフレームワークに切り替える」というスタンスでプレイするプレイヤーを役割重視と呼ぶことにします。役割重視でプレイすると、キャラクターのイメージが伝わりやすく、ロールプレイが円滑になり、セッション時間も短くなるというメリットがあります。
 一方で戦術を重視し、「効率よく戦闘を進めるために常に最適な戦術を考える」というスタンスでプレイするプレイヤーを戦術重視と呼ぶことにします。戦術重視でプレイすると、キャラクターのイメージに変化がつけられ、多様性に富んだセッションになり、困難な状況に対しても柔軟に対処できるというメリットがあります。
 役割重視は意固地になると、頭が堅く、人に役割を押しつけるようなプレイヤーになってしまいがちです。「あなたは○○だから、~~するものです」だとか「AR2Eは~~するゲームだから、こういうのはおかしい」といった言説を振りまきます。これでは自分が気づけなかった新しい発見をすることがなくなってしまいますし、戦術的状況に対応できず戦うことを投げ出してしまします。そのうえ相手に対して高圧的過ぎて友達をなくします。
 戦術重視も意固地になると、「もっと良い手があるのではないか」と考え込んでしまい、ゲームの進行を滞らせてしまったり、勝利条件を達成するのに不必要なまでの効率化を進めることで、他人の出番を奪ったり、キャライメージを無意味に壊すようなプレイングに走ったりします。これでは友達から呆れられ、自分が作ったキャラクターの良さを貶めることになってしまいます。

*1:尤も「物語上の役割」という考え方もありまして、その場合は設定≒役割ということもあるのですが、戦術論においてはほぼ無意味なので、横に置いておきます。